- どうしたら仕事とよりよい関係を作れるでしょう。
- 実は、自分のWILL(意志)を見出すことかも。
- なぜなら、日常に流されているとMUST(義務)とCAN(可能)で満たされてしまうからです。
- 本書は、そんなWILLの見つけ方に関する1冊です。
- 本書を通じて、自分をあらためて大切にする視点を思い出せるでしょう。

個人のWILLの時代へ?
自分の意志をないがしろにしてはいけません。およそモチベーションというのは次の3つからもたらされます。
- MUST(義務)・・やらなければならないことです。
- CAN(可能)・・できることです。
- WILL(意志)・・やりたいと思えることです。
仕事というのは、他者との連携です。自分を持たなくては、他者の存在感がとても大きくなっていきます。なぜなら、他者の方が自分よりもたくさんありますし、ましてや組織という存在は大きな力を持つからです。個人に行動を強制させる力によって、MUST(義務)やCAN(可能)だけで、自分の行動を創り出していく発想になってしまいます。
反対に、自分の意志がはっきりすると、次に何をしたいのか、活動の方向性が自分で描けるようになります。自分の意志に従って動き始めると、モヤモヤとした感覚を感じることも少なくなります。自分の行動に自信が持てるようになり、活動の幅や量が増えることによって、新しいMUSTやCANを手に入れることも可能になります。
自分で道を決められるようになれば、誰かのせいにすることもありません。
自分で自分の人生に主導権をもう一度、取り戻すためにも、WILL(意志)を見出してみましょう。とくに、いまは未来が見通せない時代になりました。過去の延長線上の未来が期待できない中、自分の意志を確認しないで、活動を続けていくと、変化する外部環境に流されるだけになってしまいます。迷うことなく、自信をもって全力を尽くすための視点を手に入れましょう。
人の成長とは?
WILLを言語化するようになると、自分の活動を見出すことができるようになります。そんな、WILLは次のような問いの答えとしてもたらされます。
- 「どうありたいか」
- 「何をしたいか」
- 「どうなりたいか」
案外、こうした問いについて、社会人になってから真剣に考えたり、妄想を膨らませたり、という経験は少ないという方も少なくないのではないでしょうか。就職活動をして、その後は終身雇用を前提に、会社組織の差配で仕事の内容が決められていく日本のビジネスパーソンは、自分で自分の意志を確認する機会をあまり持つことがありません。
終身雇用のシステム自体が限界になりつつある中で、企業側も実は個人に対して意志を見出して、自分のキャリア形成に本気で取り組んでほしいと考え始めるようになりました。組織のWILLと、個人のWILLのすり合わせが前提とされて、人事の差配が行われるとするならば、個人のWILLを各々が持っていることが、気づけば必要な環境になりつつあります。
ハーバード大学教育大学院のロバート・キーガン教授が中心となって進めている研究「成人発達理論」によると、人間の発達には4つの段階があると言われます。
1)利己的な段階(10%):自分軸
↓
2)他者依存段階(70%):他者軸
↓
3)自分主導段階(20%):自分軸
↓
4)相互発達段階( 1%):他者軸
利己的な段階においては、自分の欲求を満たすことを優先に考え、自己中心的に行動する人になります。自分軸が際立ちます。発達を遂げると、他者依存の段階になります。ここでは帰属するコミュニティに従って生きている状態です。周囲から見られ方や期待に答えることが大事であると思えている人です。
さらにそこから発達をすると、3段階目の自分主導に移ります。ここでは自分の価値観を確立し、周囲の期待も考慮しながら、行動を選択できるという段階です。
最終的にごく一部分の人が、相互発達段階へと進みます。ここでは、他者の力を借りながら、常に新しい価値観を作り変え、変化していく段階です。
このように4つの段階は、自分軸→他者軸→自分軸→最終的に再度、他者軸に戻っていくスパイラルを描いて、ステップアップしていきます。
上述に記載の( %)は、成人人口における割合です。お気付きの通り、「他者依存」の人が7割も占めていることに気づきます。他者の期待にだけ応える段階から、次のステップに進むためには、再び自分軸に戻ることが重要であると言われています。自分主導段階では、自分モード、つまり個人のWILLが欠かせないのです。
僕たちはついつい「誰かのために」と考えて、他者貢献が一番大事だと思いがちだけど、成長のためには「自分」と向き合い自分「主導」の行動ができるようにならなくてはいけないというわけです。

WILLはストーリーとして描かれる?
WILLを描き出す上で重要なポイントは、ストーリーとして語るということです。
1)こんな価値観を持った私は(バリュー)
2)こんなことをやりたくて(ミッション)
3)その結果、こんな未来を見たいと思っています(ビジョン)
のようなイメージで、WILLを構成する要素を見出してみましょう。
WILLの内容を検討する際に、次の3つの点を意識して、自分の考えやこれまでの行動を振り返ってみると良いでしょう。
①起源・・自分のWILLを構成する言葉は、どこからやってきたのかを見出すことです。
②一貫性・・上記のバリュー、ミッション、ビジョンが同じ軸で表現されているかを見直してみましょう。
③具体性・・具体的な行動にまで落とし込むことができるか確認します。また、これまでの具体的な行動や、これから創り出していく行動が軸上で説明できるかも確認してみましょう。
こうした視点とチェック項目を通じて、自分自身の深層心理にアクセスして言葉を見つけていく過程が、WILLを構成していきます。
よくある疑問や質問として、「WILLが先か、行動が先か」というものがあります。実は、WILLが先でも、行動が先でもOKです。WILLがあれば、具体的な行動を見出すことができますが、行動をすることによってWILLを見つけるヒントをたくさん得ることができます。
自分にフィットしたアプローチで、WILLと実践のよりよい相乗効果を創り出していきましょう。
いきなりWILLを見つけるのが難しいなぁという人は、まず自分の琴線に触れるような行動を続けていみることが良いかも知れません。衝動によって、自分が構成されていく可能性を示唆する本「【自分を「型」から解放するには!?】人生のレールを外れる衝動のみつけかた|谷川嘉浩」もぜひあわせてご覧ください。

まとめ
- 個人のWILLの時代へ?――組織のWILLとのすり合わせが、前提となります。
- 人の成長とは?――多くの人が他者依存にとどまり、成長に向けた自分との向き合いに踏み出しません。
- WILLはストーリーとして描かれる?――WILLによって軸を見出し行動を積み重ねていきましょう。
