- どうしたら発想を豊かに、思考を広く持つことができるでしょうか。
- 実は、広告会社の思考にヒントを得るのがいいかも。
- なぜなら、広告とは、人とものごとの接点を考え続ける仕事だからです。
- 本書は、Poolの小西さんによる思考術に関する1冊です。
- 本書を通じて、思考のヒントを数多く得て、今後の仕事に役立てることができます。
思考ツールをゲットしよう?
一度手に入れてしまえば、時代が変わっても使い続けていくことができるのが、「思考ツール」です。
普遍的な問いだからだ。
ものごとには普遍的な部分があります。水が高いところから低いところに流れるのと同じように、ものごとには法則がります。そして、人がその法則を見出し、人とものごとの関係性の中に、新しい発想やアイデアを見出すとき、新しい仕事を作り出していく原点となっていきます。
小西利行さんの「思考ツール」は、ものごとの普遍性をヒントに、私たちに問いかけの技法を教えてくれます。まず、「実は・・・」と問いかけてみることから何かをはじめてみるのがいいかもしれません。当たり前の裏側にある本音を見出すことで、本当に人を動かしたり、心に響くコンセプトが見え隠れしてきます。
私たちは、想像以上に自らの気持ちに蓋をして日常生活を生きています。感じることはあっても、いつもの流れの中で外に出すことを控えてしまっている、思いや気持ちに触れ、そうした感性に素直に向き合ってみることが大切なのかもしれません。
「実は、**だと思っていた」とか「こういうところが、わからなかった」というような、隠れ不満には多くのヒントがあります。もしかしたらこれからの時代を拓くような新しい発見もその中にはあるかもしれません。
常識にとらわれるのではなく、ものごとのあたりまえを疑ってみて、まだ見出されていないようなことに、焦点を当ててみることが大切です。
自由ばかりが良いものという認識もありますが、実はその反対の制約にも大きな可能性があります。制約が生まれることで、限られた資源の中で、新しい工夫をするようになります。その工夫こそが、ものごとの新しい側面を見出したり、見立てをもたらし、仕事によりよい解決策をもたらします。
一つの問いかけで制約を得てみましょう。
課題を「それは本当に、○○できるか?」に書き換えるだけで一気に考えやすくなる。
この一つの問いは、「3秒ハードル」と呼ばれるのもので、企画をさらにブラッシュアップする力をもたらしてくれます。
そもそもを問う?
問いの重要性については、小西利行さんも繰り返し説明してくれています。いくら解決策が正しくても、問いが間違っているようでは、よい企画や解決策にそもそもなりません。
大切なのは、「そもそも」に立ち戻る視点です。
最初の段階で適切な課題設定=正問にたどり着くことが大切。
問いをいかに磨くかという点については、ぜひこちらの1冊「【問いで自由になれる!?】問うとはどういうことか~人間的に生きるための思考のレッスン|梶谷真司」もご覧ください。いろいろなお題が投げかけられるのが仕事です。課題と呼ばれる問いかけをただひたすら答えているのではなくて、大切なのは、その問い自体のスジの良さを検討してみることです。
小西利行さんは、博報堂でコピータイターとして活躍され、自身の会社を立ち上げて、多くの得意先のコミュニケーションを支援している方です。そんな小西さんにとって、コピーとは「→」を生み出す役割であるといいます。それは、Aという状態を、Bという状態へ、態度変容させること、そのベクトルのちからを生み出すのが広告であるということです。A→B。
人の気持ちをずらして上げるために、何らかの表現を提示するかつどうです。
まさに態度変容でもあり、またそのコピーの中でも「→」として社会変化を描き出したのが、「モノより思い出。」という日産セレナの表現でしょう。
この「→」という考え方、プレゼンテーションでもとても生きてきます。
「課題→未来→現実案」という流れをプレゼンテーションでも重視すると、相手に対して、ものごとがより伝わりやすくなります。この時、ポイントになるのが必ず「未来」の視点をいれることです。
本当にその「未来」に生きていたいか?と問い続け、あるべき社会や環境を想定することで、提案先と提案物、さらにそのターゲット(対象者)だけでは描ききれない可能性を問うことができます。
さらにその「未来」視点があることで、得意先がまだ気がついていない課題について触れることもできるかもしれません。
コピー的視点とは?
また、問いを磨くためには、自らの違和感を大切にしましょう。
例えば、次のような短文(コピー)についてどのような感覚をおぼえるでしょうか。
1.豆腐
2.おいしい豆腐
3.豆腐はおいしい
4.本当に豆腐はおいしい
5.本当の豆腐はおいしい
キャッチコピーとして機能するという着眼点で、ご覧ください。
気になるのは、5番ですね。最も難しいのは4番です。これは、人の思いを押し付けるものだからです。一方で、5番は、なにかちょっとした違和感を覚えさせて、相手と自分との間に、肯定的な情報の格差をもたらし、そしてそれを埋める方向性へといざなう力を持ちます。「本当の」というところに意味を感じます。
最初に「なんか変だぞ?」という違和感を生み、その次に「なんか面白そうだ」と期待する気持ちにつなげる。この一瞬の思考時間こそが、心を掴むために絶対に必要な「間」であり、コピーの極意だ。
思考の枠組みに必要なのは、こうした人の思考フレームに照らした、言葉の選択をすることで、私たちはコミュニケーションの可能性にふれることができます。
相手とのコミュニケーションを立ち上げていく上で、ポイントになるのが、「共感、言い当て、問いかけ」です。小西さんいわく、名医はこれらの3つの質問と発言を通じて、患者さんと同じものごとを見る視点を得るといいます。まずは、相手が感じている状況を知り(共感)、そして、相手の状況を表現し(言い当て)、その上で、何が求められているのか、どうしたいのか(問いかけ)を通じて、相手との距離感をとっていきます。
大切なのは、現場にある状況について具体的に知ること、そして問いかけを通じて、何が問題となっているのか、何が課題となりうるのかを具体的に深堀りをしていくことです。もしかしたら、相手がまだ気づいていない状況にも触れることがあるかもしれません。そうしたやり取りを互いにすることによって、フラットな関係性の中に、新しいものごとを出会ったからこそ構築できる可能性を見出すことができるのかもしれません。
ぜひ本書『すごい思考ツール 壁を突破するための〈100の方程式〉』をお手に取り、普遍的なものごとの見立てを駆使する小西さんの思考ツール100をご覧ください!!おすすめです。
まとめ
- 思考ツールをゲットしよう?――ものごとを考える普遍的な問いを知りましょう。
- そもそもを問う?――そもそもの先に見える、本質的な問いを大切にしましょう。
- コピー的視点とは?――ちょっとした違和感を大切にする言葉を大切にしましょう。