- どうしたら、子どもと大人がより良い関係を作っていくことができるでしょうか。
- 実は、一貫性がキーかも。
- なぜなら、一貫性こそが、心理的安全性につながるためです。
- 本書は、子どもとの関係性の中から互いに学びを深めるための1冊です。
- 本書を通じて、どのような向き合い方が信頼と学びを育むのかを知ります。

罰は何をもたらすか?
子どもが問題行動を起こした時に、私たち大人はどのように彼ら、彼女らと接するのが理想でしょうか。最も良くないのは、一方的に叱責して、それを辞めないことです。叱ることは、多くの場合相手に、負の感情を抱かせてしまいます。負の感情を持つと、人は、闘争もしくは、回避しようとする反射が起きて、その場の難を逃れようとします。そのために、なぜ、自分は注意を受けているのか?について検討するチャンスを失ってしまうのです。
大切なことは、事前に子どもとの関係性の中で、何が望まれているのか、どのような言動が理想かを対話して置くことが大切です。そのようにして、叱責しなくてもよい関係性を日常の中で作っていくことが、互いにとって学びの種をまく行動になります。
しかし、叱ることも時に必要なときがあります。生命に関わる問題行動があったり、誰かを物理的に傷つけてしまうような行動の場合には、すぐにその行動をやめさせる必要があります。例えば、生徒の制服の着用が乱れていることと、4階のベランダに腰掛けて話をしているシーンを比べれば、明らかに4階のベランダに腰掛けて話をしていることを、優先して注意するべきです。
でも、叱ることが登場するのは、そのくらいの非常に緊急度の高い行動変化を必要とするときだけで、日頃は基本的には必要のない行動です。
子どもが学びを得られるようにしていくためには、互いに信頼関係を構築していくことが欠かせません。信頼がないところで何を言おうが、内容が心に響かないからです。
そのためにも、大人は一貫性ある言動で、子どもに接する必要があります。
私たちはよい行いを可視化することが文化となるように心がけて、目に見え、耳に聞こえるかたちで一貫した指導を毎日欠かさず継続する必要がある。
重要なのは、一時的な感情に気を取られずに、先に行動を正していくことがキーです。行動に一貫性が伴ってくれば、どんな集団でもよりよい方向へと変化していくことが可能になります。
何より大切なことは?
子どもの行動に対して、感情的に対応しても、何も解決することがありません。
成果をあげている関係は、自分の気持よりも、全員(子どもも大人も)にとって一番良い結果が出せるように、優先して、合理的な行動を促す基本となるものです。
他人がどう振る舞うかよりも、まずは、自分がどう振る舞うか、ということに注意を向けるべきです。
罰は副作用が大きく、長い目で見てもなんら良い結果を生みません。罰は上述の通り、叱るのと同様に、子どもとの関係性を構築しません。むしろ、互いに不信に繋がり、問題となる行動はいつまでたっても減ることはないでしょう。
子どもは誰に罰せられているか、どうして罰せられているのかも覚えていないだろう。
子どもが本当に必要としているのは、無条件に手を差し伸べてもらうことです。イライラして子どもに対してあたってしまうのではなく、まず自分が冷静になって子どもに可能な限り落ち着いた一貫性を持って対応することが理想です。
重要なポイントを以下にあげます。
- 問題が起きたときは自分の感情に流されず、合理的な対応を意識しよう。
- 他の人から聞いたやり方を鵜呑みにしないようにしよう。その方法が、自分の周囲の関係性でも有用な証拠はありますか?
- 罰で脅しても、子どもが抱えている怒りは言えません。
優しさと思いやりを通して、子どもとの信頼関係を築くことができれば、その子は大人や周囲の人との関係性を信じることができて、自らそうした関係を築くことができるように学びを深め、成長していくことができるはずです。

対話がキー?
関係性をつくる最初の段階は、ちょっとしたことでも、「いいね」「ありがとう」という言葉をかけてみることです。最低基準をクリアしたことを認めてあげることで、1ヶ月もするうちに、新しい基準が定着します。
これは、チームの運営、マネジメントにも言えることかもしれません。チームが理想とする方向へ向かっていくためには、リーダー、マネジャーだけではなく、チームメンバー全体の言動の集積が必要です。そうでなくては、チーム全体が動かないためです。チームの方針を掲げたならば、それにフィットする言動をしているメンバーを互いに認めて、認識していることをチーム全体で共有することで、自分がどのような言動をしていけばよいのかを体感することができるようになります。
大切なのは、一貫性あるルールを共有し、それをみんなで達成していくことです。罰を与えても子ども(人)は成長をすることができません。
しかし対話であれば、子ども(大人も含む)に正しい振る舞いを教え、共有し、そして、自然に促進させることが可能です。
特に子どもと対話するときには、次のような内省を促す問いかけを重視してみましょう。
1.何かあった?
2.あのとき、どんなことを考えていた?
3.あの後、どう思った?
4.他の人はどんな気持ちになったと思う?
5.今回のことで誰が影響を受けたと思う?
6.その人たちは、どんな影響を受けたのかな?
7.これは正しい状態にするためには、どうすればいいと思う?
8.この先、同じような状況になったらどうする?
子どもの行動を変えたいと思うなら、唯一確実な方法は、まず大人の行動を変えることだ。
大切なのは自らが変容することです。その変容が徐々に周囲に伝わり、きっとチームや、環境が変化していくことを促すことができます。あるべき姿を提示するだけではなく、大人やリーダー、あるいはマネジャーが率先して行動していくことが、何より欠かせないものとなります。
変容については、こちらの1冊「【真の「成長」とは!?】トランジション ――人生の転機を活かすために|ウィリアム・ブリッジズ」もぜひご覧ください。おすすめです。

まとめ
- 罰は何をもたらすか?――ネガティブな感情により、学ぶ機会を奪います。
- 何より大切なことは?――互いに信頼関係を築くことです。
- 対話がキー?――信頼関係のためには、対話を重視してみましょう。
