【チェンジマネジメントこそが重要!?】日本のDXはなぜ不完全なままなのか|小野真裕

日本のDXはなぜ不完全なままなのか
  • なぜ、日本のDXは不完全なままなのでしょうか。
  • 実は、デジタルを導入するだけでは、人の行動が変わらないからです。
  • なぜなら、根本原因は、ビジネスモデルや業務プロセスに求めるべきなのです。
  • 本書は、DXの本質を問う1冊です。
  • 本書を通じて、企業変革に向けたポイントをおさえることができます。

DXは難しい?

デジタルツールさえ導入していれば、DXは可能であるということは、誤りであると言えます。

DXとは、デジタルトランスフォーメーションのことで、企業のビジネスモデルや業務プロセスをこれからの時代において永続性を担保する柔軟でしなやかに強いものにしていくことが目標とすることです。デジタルはあくまで手段であるのに、この導入が主眼に置かれてしまいがちです。

デジタルを導入するだけでは人の行動はかわらない

デジタルが人に寄り添い、どんなにシステム自体が使いやすくなったとしても、従業員にデジタルを活用してもらうためには、そもそもそのデジタルが事業の何に直結をしているのかを明示し、推進することで本質的にどれだけ良いことがあるのかどうかを説明し、納得してもらう必要があります。

そもそも、人の心理には、新しいものやよくわからないものを取り入れたくないという心の慣性の法則が働きます。時に感情が新しい取り組みの阻害要因となってしまう可能性だってあります。何のためのデジタルなのかを自社事業の全体に照らして設計し、導入することができないかぎり、変革には程遠いのです。

DXプロジェクトにおいては、システム導入ではなく、「チェンジマネジメント」がキーとなります。SaaSが提供する業務フローに自社が合わせる方が簡単かもしれませんが、大切なのは、自社の業務フローを見直し、その上で適切なSaaSシステムを選び、あるいは、カスタマイズの要件定義をするべきです。

残念ながら、DXに関する市場レポートには、「失敗」にフォーカスするものが少なくありません。例えば2016年のForbesによると、84%の企業がDXを円滑に進められておらず、2018年IMD教授のMichael Wadeさんは、95%の企業が失敗していると発言しています。

あらゆる変革には、ハードルがつきものです。そのハードルを見極め、正面から取り組まなければ、本当の目的に到達することは困難です。

チェンジマネジメントがキー?

そもそもデジタルには、「フリクション」があります。いくらWeb3の時代になろうと、まだまだ人間のインターフェイスはフィジカルなものです。だから、デジタルにふれるには、特定のインターフェイスを介しないといけなかったり、あるいは、表示内容を理解して内部のデータ構造を想像する必要があったりします。

これらのハードルのことを、「デジタルフリクション(デジタル摩擦)」と言います。これには、デジタルを使うときの「面倒だ」「やりたくない」という心理的なハードルも含まれます。

手に取れば直感的に操作がわかるようなアップル製品と違い、まだまだ業務用のソフトウェアやシステムはこうした「フリクション」を排除しきれているものが少ないのが現状です。

よって、システム導入者は、システムの選定や要件定義に極めて慎重になる必要があります。そして、確実な運用を現場に依頼したいのであれば、導入者だけではなく、使用者、評価者などのステークホルダーが業務フローの再構築も含めて対話をしながら問題点をあらい、導入を検討するようなプロジェクト体を検討するべきです。

最終的なDXのゴールに到達するためには、組織や人を動かすチェンジマネジメントを、今からでも日本に導入すべきだと強く思います。

日本の企業には、チェンジマネジメントが不足していると、著者・小野真裕さんは、言います。本質的な問題は、人とシステムの分断にあります。システムの価値をどこまで引き出せるかは、業務プロセスとそれを使用しながら価値創造する人にかかっているのです。

人の変化こそ重要?

重要なのは、繰り返しますが、業務プロセスを意識することです。

まずは、システムよりも業務プロセスの改革を検討しましょう。ユーザーサイドから見つめてみると、本当に必要なのは、個別に導入されたシステムの使い方を詳しく知ることではなく、業務プロセスを実行する時にシームレスに、また、ストレスなく効率的に運用できるシステムです。

その結果として、シンプルにROIが上がります。

業務プロセスの中で使われない機能や不要な操作は知らなくていいし、むしろそれを説明されることは時間のムダです。業務プロセスに対応した「組み合わせ」の価値を100%発揮できるシステムを構築し、運用する必要があります。

システムは、ベンダーが提供してくれるものですが、業務プロセスは自社で検討しなくてはなりません。

自社の業務を見える化して、問題点を洗い出します。そもそも当社はどんな価値を外部に提供しているのか?という本質的な問いに立ち返ることも必要です。あるいは、さらにその上位概念としてのパーパスを再定義することから、プロジェクトをスタートするほうが、より本質的なトランスフォームを引き出すこともできるかも知れません。

システムのさ的かにより新しい価値を創出するために決定的に必要なことは、それは、「人が変化する」ということなのかも知れません。変化には必ず抵抗力が働きます。しかし、その変化のハードルを超えて、変化を受け入れることで、DXへの道を歩むことができます。「チェンジマネジメント」が重要です。変化への準備、変化への支援、変化の定着化など、変化のライフサイクル全体を意識したプロジェクト設計を行っていきましょう。

例えば、変化については、こちらの1冊「【真の「成長」とは!?】トランジション ――人生の転機を活かすために|ウィリアム・ブリッジズ」やこちらの1冊「【思いやりのコーチングとは!?】成長を支援するということ|リチャード・ボヤツィス,他」も大いに参考になると思われます。人を変えることは結局は人なのかも知れません。コーチングのメソッドなども駆使しながら、どうしたら、企業や組織をより良い方向へと変えることができるのか、検討を始めましょう。

まとめ

  • DXは難しい?――システム導入だけでは、それは変化をもたらしません。
  • チェンジマネジメントがキー?――変化を促すための考え方と仕組みを持ちましょう。
  • 人の変化こそ重要?――企業や組織が根本的に変わるには、システムではなく人の変化こそが重要です。
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