- どうしたら人生のベクトルを上手にコントロールできるでしょうか。
- 実は、成長に集中することかも。
- なぜなら、約束されない成功よりも、確実に得られる成長のほうが長続きするからです。
- 本書は、人生のガイドラインを得られる1冊です。
- 本書を通じて、いかに成長するか、そして共に成長するか、視点を得ることができます。
何を求めていくべきか?
私たちは、何をもとめて人生の時間を過ごしていくのがよりよいでしょうか。ひとつには、成功を求めることもあるように思えます。しかし、成功だけを見つめていると、なかなかうまくいかないこともあるようです。というのも、成功というのは、必ずしも約束されていないからです。成功をコミットしてしまうと人生がハードモードになってしまい、なかなか幸せを実感する機会を減らしてしまうのが事実です。
であったら何を元に、人生の時間を過ごすことが理想でしょうか。
人生において、「成功」は約束されていない。しかし、「成長」は約束されている。
序章 なぜ、我々は「成長」を求めるのか
私たちひとりひとりに約束されている「成長」に焦点をあてて時間を過ごしてみるのが良さそうです。そもそも私たちは、成長実感に大きな喜びを感じることができます。「生きがい」と言っても良いかも知れない、その喜びを積み重ねていくことから人生が立ち上がってきます。
自分の中に眠っていた可能性を開花させ続けていくことで、もしかしたら、結果的に成功という状態につながっていくかも知れないし、そうでもないかもしれない。でも、成功というそれ自体の喜びがあれば、活動を続けていくことができるのです。
自分の中の可能性について解像度を上げてみましょう。自分の中には確固たるひとりの自分があるというイメージではなく、もっとたくさんの自分が眠っているイメージを膨らましてみましょう。多種多様な自分の側面があります。それらはすでに見えているものもありますが、まだ、表に見えてきていないものもあります。
平野啓一郎さんの「分人」を思い出していただくと良いかも知れません。ぜひこちらの1冊「【本当のあなたの「個性」はどこにある!?】私とは何か「個人」から「分人」へ|平野啓一郎」もご覧ください。
自分の中にあるさまざまな自分を見出していくこと、それが成長による可能性を見つけることにつながっていきます。新しい自分を見出すためには、新しい活動や新たな出会いを通じて、自らに新しい体験をさせてあげることが必要です。
深い成長のために必要なのは?
自分の可能性を新たに感じながら、成長をしていくためには、仕事がよりよい機会を提供してくれるでしょう。仕事というのは、はたらくことを指します。はたらくとは、はた(となりの人)を、ラクにすること。つまり人と人の関係の中で見出される行為であると言えます。
人のためにいかにあることができるかを考えた時、私たちは、「職業人としていかに成長するか」という視点を得ることができます。「職業人」としての成長は、2つのベクトルで表すことができます。「専門的な知識」と「職業的な智恵」です。「専門的な知識」は、学校やウェブサイトで学ぶことができますが、残念ながら「職業的な智恵」はそうはいきません。現場の経験と人間との関係性からしか学ぶことができないのです。
知識を得ることがどんどん無料化されている知識社会で、よりよく生きていくには、智慧をいかに身につけていくかが、キーになります。その時に求められるのは実際の経験の数と質であるということになります。
「智恵」とは、「経験」と「人間」を通じてしか、掴めないもの。
第1章 職業人としての成長
経験と人でしか学べない智恵。これを学ぶための近道は、自分自身が目指すべきプロフェッショナル像を描き出し、それを持つ人材と共に仕事をすることです。その人に「技術」だけではなく、「心得」も含めて、学ぶように自らの意識や行動をアップデートしていくことが大切です。
その時、忘れてはならないのが「感動する力」です。多忙な中においても四季折々の変化を感じる気持ちを大切に、ものごとの変化に対して気付く力を養い続けていくことが、「智恵」を身につけていく自分を形作ります。
人から学ぶことは智恵、すなわちスキルではありません。智恵とは、その人の全体像に及ぶものです。だから、一挙手一投足のそのものまねをしても成り立たないものです。それを感じ続けながら、全体を感じつかむことが大切であると思われます。
師匠の技の「全体バランス」を学ぶためには仕事の現場だけなく、仕事の現場を離れた日常における、師匠の「全体像」を学ばなければなりません。
第1章 職業人としての成長
「人生や人をどうとらえているか」の人生観・人間観と呼べるものを感じることです。そこから生み出される、呼吸とリズムを知ることで、自らに智恵の蓄積をしていくことが可能になるかも知れません。
こうしてものごとを感じる技術を研鑽して、智恵として身につけていくことが仮にできたのならば、究極、私たちは「操作主義」から抜け出して真に職業人を目指すことができるのかも知れません。
操作主義とは、相手を意のままに、自由に操ろうという意識のことです。
我々は、自身の心の中に潜む、その「操作主義」に気がつく必要があります。
第1章 職業人としての成長
1流と2流を分けるのは、究極的には、この「操作主義」に流されるかどうかです。操作主義に流されないためには、「人間としての真の成長」が必要です。
人間としての真の成長とは、「心の世界」が見えるようになるということです。これは普段は見えてないものです。目に見えないものが見えるようになるためには、感じる心と経験による「想像力」を高めていくことがとても大切です。
ひとりひとりの背後にある相手の心の動きを感じる修練を積むことです。
- 「A氏の発言は、一応、この問題を肯定しているが、内心は、かなり否定的だ」
- 「B氏は、表面的には抑えて話しているが、実は、先ほどの C氏の発言によってプライドを傷つけられたので、感情的に反発している」
- 「D氏は、黙って議論を聞いているが、内心、 E氏の意見にかなり賛成している」
などなど、その背景にある深い状況と心理についても感じることです。
そして、相手の気持ちを深く知ろうとする中で、気付くことがあります。それは、自分の心を捉えることがいかに難しいか・・・ということです。
見ていると思って、実は、見えていないのが「自分の心」だからです。
第2章 人間としての成長
例えば、自分が他人を心の底から誉められるかどうか、深く見つめてみましょう。人は、自分に本当の自信がないと謙虚になれません。また、自分自身が本当に強くないと、感謝することができないのです。
チームの成長が超大切?
素朴な日々の「行」をおこなっていくことです。感じる心を大切に、智恵を蓄積していく過程を続けていきましょう。
謙虚な姿勢を大切にして歩むとき、静かな自信が生まれてくる。日常において、感謝の姿勢を大切にして歩むとき、静かな強さが身についてくる。
第2章 人間としての成長
また、同時に人はたった一人では「成長」することができないということに気づきます。メンバーひとりひとりの成長はチーム全体の成長にかかっているのです。だから、全体をマネジメントする目的はここにあるといえます。
チームマネジメントとは、チームの成長により一人ひとりの成長にどのように好影響を与えることができるかどうか、を絶えず考え、そして全体を設計することに尽きます。
人間集団において、メンバー一人一人の成長が、互いに良き「影響」を与えあい、相互に「加速」する状態が生まれることです。
第3章 人間集団としての成長
もっともシンプルな例は、「反省会」を想像してみるとよいでしょう。例えばひとつの職場があります。そこではメンバー同士が、互いに語り合うことをせずに、ただひたすらに自分の仕事に一生懸命、真面目に向き合っています。一人一人はそれなりの成長を遂げていっている。しかし、これではチームの力はメンバーの総和にしかなりません。
ところがある日、チームリーダーによって、「反省会」が導入されたとしましょう。反省会においては、メンバーが互いの経験と智恵を学び会えるようになります。その結果、メンバーは自分の経験を超えて仲間から学ぶ機会を得ることになり、これまで以上に急速な成長を遂げていくことが可能になるのです。
これこそが人間集団の成長であるのです。
つまり、リーダーであるとは、絶えずメンバーの成長を考えチーム全体を学びの場としてデザインすることができるように考え行動できるということです。そして、そのためには、絶えず自分が学び続けていることなのです。
リーダーも含む、メンバーひとりひとりが素直に学び合いを続けていく環境を作るためには、ひとりひとりの「エゴ・マネジメント」が必要となります。なぜなら、学び合いには、ひとりひとりが失敗談や経験談を素直に表現し、捉えられることが大切だからです。より良いことだけではなく、自らをフラットに客観的に捉えて、失敗や難しいことを表現し、とらえることができるかが、「反省会」の内容を向上させ、チームのための学びを向上させることが可能になるからです。
心理的安全性について触れてみることも大切かも知れません。それが成長につながる可能性を存分に秘めているからです。こちらの1冊「【安全だから、闘える!?】心理的安全性のつくりかた|石井遼介」もぜひご覧ください。
まとめ
- 何を求めていくべきか?――成功よりも、成長の視点を持ってみましょう。
- 深い成長のために必要なのは?――目に見えない心の世界を感じる心を養うことです。
- チームの成長が超大切?――チームと共に成長すれば、掛け算で成長できます。