- どうしたら情報と適切に関わることで、アウトプットを上手にすることができるでしょうか。
- 実は、第2の脳とされるメモを上手に活用することにヒントがあるかも。
- なぜなら、メモは脳に収まらない情報を集積し、その後活用できるフォーマットだからです。
- 本書は、第2の脳の活用の仕方に関する1冊です。
- 本書を通じて、情報と賢く向きあう方法論を知り、日常生活のヒントを得ることができます。
セカンドブレインとは!?
情報との関わり方を変えることで、テクノロジーは、単なる記録媒体ではなく、思考のためのツールにすることができます。大切なのは、テクノロジーに使われるスタンスではなく、テクノロジーを使いに行くスタンスです。今、世界で生成される情報量は、とてつもない量になっています。しかもその多くに限りなく無料に近いコストでアクセスが可能です。情報を得ること自体が簡単になっている今、大切なのは、情報をいかに習得し、編集し、そして他者にいかに伝えていくか、というアプローチです。
集められるのではなく、適切に集積し、そこから新しい価値を見出すことに論点が移っているのです。
本書が提案するのは、「セカンドブレイン(第2の脳)」というアプローチです。
「セカンドブレイン」は、情報を整理し、いま必要なことと、そうでないことを切り分け、もしかしたら将来役に立つかも知れない有益な情報を蓄積しておくしくみだ。
PART1 KICK-START すべてのノートをデジタル化すると、何が起きるか
本書の著者である、ティアゴ・フォーテさんは、メモを書きまくる才能をもった1人です。きっかけは、自分の体調不良にありました。主治医も、セカンドオピニオンでもよくわからなかった、原因不明の痛みを追求するため自分の痛みと生活の記録、そして、専門的な医学の情報をとにかくメモとして起こし、自分の病気の正体をつかもうとしたのです。毎日メモを続け、その量は膨大になったといいます。
とにかくメモをしながら、自分に対して客観的になろうというアプローチもすごいですが、医者もわからないことを自分でやろう!というマインドセットがすごいです。世の中には、こうした「衝動」に突き動かされる瞬間というものが存在するのだということを、ティアゴ・フォーテさんからも学ぶことができます。
特定の目的とか、何かの使命とか、そういう前提条件を超えて、もしかしたら「衝動」のような、クセに近いなにかを一人ひとりが見つけていくとよりよいことが生まれていく時代なのかも・・と思ったりもします。こちらの観点については、こちらの1冊「【自分を「型」から解放するには!?】人生のレールを外れる衝動のみつけかた|谷川嘉浩」もぜひご覧ください。
少し寄り道をしました。メモの力に思考を戻してみましょう。メモを駆使し、ついに、ティアゴ・フォーテさんは自らの病気を特定しました。いまは痛みからも解放されて、健やかな生活を過ごしています。
ティアゴ・フォーテさんにとって、メモとは思考のツールであったといいます。
メモはただのツールではなく、忠実な思考のパートナーです。
次なる変化――「シェアする力」を発見
自分がたとえ忘れたとしても、メモは必ず覚えておいてくれます。行き詰まり、アイデアが浮かばないときには、可能性と進むべき道を示してくれるのです。
本書が目指すのは、“自己改革”ではなく、私たちの外部にあるシステムの最適化です。
4つのステップとは?
過去の投稿「【自分に固有のリズムをつかめ!?】ATTENTION SPAN|グロリア・マーク,依田卓巳」において、情報化社会の中で、集中力を絶やさずにいるには、自分のリズムを知ることであるということが説かれていました。あらゆるデバイスが「通知」をあなたに送ってきます。1日に何十回と、あるいは何百回と。そうした騒がしい環境においても、より良い時間を過ごしていくためには、自分固有のリズムを乱さないことが秘訣です。
こちらの1冊がインプットについて語られているものであるとすれば、今回投稿の1冊『SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」』は、アウトプットについてのヒントを提供してくれるものと捉えられるでしょう。
第2の脳は、生涯にわたって、学びの助けになるツールです。自分の記憶力の延長として、多くの情報を外部に保管し、いつでも取り出せるようにしておくだけで、思考の連鎖を誘発し、自らの思考をその時々のシーンにおいてアップデートしていくことが可能になります。
大切なことは今日、いまここからデジタルノートをスタートさせることです。その方法はシンプルな4つのステップです。
1.キャプチャー――心に響いたものだけを保管する。
情報の激流から少し離れて、観察者の視点で脳内をどんな情報で満たしたいのかを検討してみましょう。誰かにやれといわれてやるのではなく、自分自身で情報を集めてみることが大切です。
意識的に決め、本当に注目すべきアイデアや知識のみを“収集(キャプチャー)”するべきです。
【キャプチャー】――心に響くものをキープする
情報の海で溺れないためには、決めた場所に「心に響いたものだけをキープ」し、ほかは放って置くことです。
2.オーガナイズ――行動のための仕分け
1のキャプチャーを進めていくと、整理する欲が出てくるでしょう。この欲に素直に従って整理を始めてみましょう。行動のための仕分けとは、「今、携わっているプロジェクトに使えるか」 or notで区分けしていくことです。このシンプルな基準で、重要性を分解して分けてみましょう。テーマのラベルがあると尚良しです。
デジタルツールのタブ機能などを使いながら、後から編集しながらよりよい分類方法を見つけてみましょう。
整理するには、「PARA」のルールを参考にしてみるのもGOODです。
- Project:仕事や生活で現在取り組んでいる短期的な試み=仕掛りしごと
- Area:長い期間をかけて管理必要のある責任(範囲)
- Resource:将来役に立ちそうなテーマや関心事
- Archive:上記のカテゴリー以外の休止中または完了したアイテム
3.ディスティル――本質の発見
情報を集積していくと、抽象的な概念を想像できるようになります。いわゆるまとめです。たとえキャッチーな言葉でなかったとしても自分の言葉でそれをとどめておくようにしましょう。
説明に何百、何千ページと費やされている複雑な考察でも、その核となるメッセージはつねにほんの1、2文で言い表せるもの。
【ディスティル】――本質の発見
4.エクスプレス――成果をアウトプット
メモの集積と抽象的な概念から、自分のスキルや、関心や、個性にあわせてどんどんアウトプットをしていきましょう!
往復運動がキー!?
情報は大抵がとても具体的なものと、それをまとめた抽象的なものに分かれています。自分でそのレイヤーを意識して、メモを作り続けていくことが大切かも知れません。脳も実はその往復運動で考えることをしています。
この点については、こちらの1冊「【「わかりやすい!!」は、本当に価値なのか!?】具体と抽象|細谷功」もぜひご覧ください。
メモを活用するには、「発散と収束」を繰り返していくことがキーです。抽象的な概念と具体例を繰り返し見つめながら、どのようなアウトプットができるのかを発散し、その中から選択を繰り返し実践してみましょう。
「実行」→「レビュー」→「改編」のサイクルを回し、セカンドブレインを動的な資産として活用する方法を探っていくことにしよう。
PART3 CHANGE 「セカンドブレイン」を使って、何を実現できるか
実践あるのみ、今ここからスタートさせましょう。デジタルツールは無料で、公開されています!
まとめ
- セカンドブレインとは!?――情報がスタックされている第2の脳です。
- 4つのステップとは?――セカンドブレインを構築するために上述の4つのステップを実践してみましょう。
- 往復運動がキー!?――思考は、具体と抽象、アウトプットは、発散と収束の往復運動でできています。