- どうしたら情報と上手に向き合いながら、バリューを提供し続けることができるでしょうか。
- 実は、コンテキストの発見が重要です。
- なぜなら、情報そのものに価値はほとんどないからです。
- 本書は、情報の集め方と解釈の仕方、意味付けを行い、仕事で活用するための1冊です。
- 本書を通じて、情報化時代において情報と上手に付き合うヒントを得ることができます。
情報の向き合い方とは!?
情報が大量に、しかも無料に手に入る時代になりました。だからこそ、情報を収集するだけでは、価値が発揮しづらい状況です。こうした状況にあって、どのようなスタンスで情報に向き合うことが大切でしょうか。
キーは、どうしたら情報に付加価値がつけられるか?について、考えることにあります。
問い:それでもなぜ情報収集は大切か
問い:それでもなぜ情報収集は大切か
これからの情報収集の価値の源泉は、収集した情報そのものではなく、情報収集をすることのその先にあります。
- 昔:情報を「自分だけが知っていること」を前提に、その情報の非対称性を活かした行動をとる
- 今・これから:情報を「自分だけが知っているわけではない」ことを前提に、その情報について、意味やものがたりのレベルまで自分なりの解釈を行い、行動に反映する
この差を十分に理解して、コンテキストを見出す活動を進めていきましょう。
個人的に「自分の頭でかんがえましょう」というよくある言説は限界があって、やはり「自分の頭で調べて試して考えよう」までがセットであるべきだと思う。
『統計が最強の学問である』(ダイヤモンド社)西内啓
情報に裏打ちされていることを証明するために、活動を積極的に行ってみることを検討してみましょう。やってみて初めて分かる(つまり、情報が作れる)ことも非常に多くあります。むしろ、そうして作られた一次情報にもっとも価値があると言ってもいいかもしれません。まず行動をしてみて、自分なりの経験をたくさん積んでレビューをして、チームを巻き込んでみましょう。
まずやってみるについて、勇気を与えてくれる1冊は、こちら「【「手中の鳥」を探せ!?】エフェクチュエーション|吉田満梨,中村龍太」です。ぜひあわせてご覧ください。
コンテキストの見つけ方とは!?
どうしたら、情報の中にコンテキストを見出すことができるでしょうか。
単純に情報の羅列をするだけでは、新たな発見を得ることはできません。大切なのは、情報に向き合って見つける、「外れ値」の存在です。
対象となるものごとについて、「外れ値」を探しに行きましょう。そこに、ものごとをより良くするヒント、あるいは新たなものごとを作るヒントが隠されています。たとえば、新しい事業を考える時に、既存のユーザーにサービスや商品についての意見をアンケートなどで聞くことがあるでしょう。そうした時に全体の平均だけにフォーカスしても新しい着眼点は見出されません。むしろ一部の人が抱えているちょっとした意見や、あるいは、定性データに込められた気づきなどが、事業をドライブするヒントを提供してくれることがあります。
「外れ値」には、良い外れ値と、悪い外れ値があります。それらを見極めながら、それがどうしてそうなっているのか、何がそうさせているのかの原因を究明しましょう。その先に、新たなアクションのヒントがあります。
具体的に示唆やアクションを考えるときの問いは、次のようなものです。
- 良い外れ値をどう残すか
- 悪い外れ値をどう省くか
- 新たな外れ値をどう生むか
これに加えて、
- 実際にはどうか?
- どう進めていくのか?
を、検討することがポイントです。
「外れ値」の料理の仕方については、次の視点が欠かせません。
逆説の構造とは、起点、定説、逆説の3つの要素からなる構造です。
『ビジネスモデル図解シリーズ』近藤哲朗
『俺のフレンチ』の例でいうと、
- 起点・・一流シェフ
- 定説・・「ゆったり座って、長い時間かけて食べる」
- 逆説・・「立って食べる手頃な料理」→回転率の向上、ビジネスとして成立。
こうなります。定説と逆説が対立的であればあるほど、インパクトが強くなります。
であるからこそ、業界の原理・原則、領域の原理・原則、クライアント企業の原理・原則をよく知っておく必要がります。「本来なら~~であるはず」を、広く・深く・早く理解することが第一歩であるからです。
外れ値に対するアプローチとは!?
相手に対する理解、相手に対する介入の方針、相手との間合いの取り方について、外れ値は非常に役立ちます。例えば、以下のような視点で、得意先企業と向き合ってみましょう。
原理・原則とクライアントの取り組み・状態に差分がある状態
(クライアント自身が外れ値である場合)
●原理・原則と目の前のクライアントの取り組みの差分から〝原因〟を探る
・「本来~であるはずなのに、この会社では~になっていないのは何でだろう」
・「本来タブーとされる~を行っているこの会社が成功しているのはなぜだろう」
・「この会社の~は素晴らしい取り組みに見えるのに、業界の標準的な活動になっていないのは何でだろう?」
●原理・原則・目の前のクライアントの取り組みについて未来シミュレーションをしてみる
・「原理原則である~をこの会社で行ったとしたらどうなるだろう」
・「この会社の取り組みが業界のスタンダードになったとしたら何が起きるだろう」
原理・原則とクライアントの取り組み・状態が一致している状態
(クライアント自身は外れ値ではなく、別の企業が外れ値となっている場合)
●原理・原則そのものの価値・意味合いを明確にする
・「この原理・原則に従うことはこの会社にとってどんな意味合いをもつのか」
・「この原理・原則から外れている企業はいかなる企業で、どんな成果を挙げているのか」
●原理原則が変化していく可能性とその方向性をシミュレートする
・「この原理・原則を生み出している背景や構造はどのようなものか」
・「この原理・原則が5年後に激変するとしたらそれはどのようなもので、クライアントにどのような影響をもたらすか」
低価格の機能性ウェアという機能性ウェア市場を開拓した、ワークマンの土屋哲雄専務も「異常値を探す」という言葉で、外れ値の重要性を語っています。
既存製品の成長カーブが緩んできたタイミングで、大切なのは、異常値を上手に取り扱うことです。異常値を検出し、それを単なる異常値として捨て置くことではなく、現場で何が起きているのかを見つめることです。通常のデータとかけ離れたものを見つけたら、じっくり観察してみる。
新商品開発であれば、通常来るはずのないお客さまがいないか、通常とは異なる使い方をしていないかを探してみることです。地域別の戦略であれば、まったく売れない地域や反対によく売れている地域はないかを調査士てみます。
一般的に異常値は排除しがちなのですが、ブルーオーシャン市場拡張のヒントがあるかもしれません。
情報に対して積極的に関わることで、ヒントを抽出してみましょう。相手先に対する大きな関心と興味を持ち関わっていくことで、新しい地平を見ます。
考えるということも、ひょっとすると型破りを見出すことかも。こちらの1冊「【考えるとは何か?】はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内|野矢茂樹,植田真」もぜひご覧ください。
「問いを持つためには、長い時間がかかる」・・そうですよね、業界・領域の原理・原則をまず知り、それについて一定の経験をしている必要があるのですから。
まとめ
- 情報の向き合い方とは!?――情報自体に価値があるのではなく、意味やものがたりを付与して価値が生まれていくというスタンスを大切にしましょう。
- コンテキストの見つけ方とは!?――外れ値に注目することです。
- 外れ値に対するアプローチとは!?――良い・悪い、外れ値は得意先 or notで区分して考えましょう。