【意志はミームとなり、人が運ぶ!?】ひとりの妄想で未来は変わる|佐宗邦威

ひとりの妄想で未来は変わる
  • どうしたら、新たなプロジェクトに無限の力を宿すことができるでしょうか!?
  • 実は、意志とそれを育てるチームが必要かも。
  • なぜなら、意志は生まれたては弱く、そして人でしか伝達ができないからです。
  • 本書は、新規プロジェクト推進のポイントを問いた1冊です。
  • 本書を通じて、意志資産を拡張し、事業に育てるステップを知ることができます。

イノベーションの成否とは!?

前回の投稿「【ビジョンを持ち、語ろう!?】ひとりの妄想で未来は変わる|佐宗邦威」に続き、本日もこちらの1冊『ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATION』をレビューさせていただきたいと思います。

数多くのイノベーションプロジェクトを支援してきたが、経験則的にうまくいくプロジェクトとうまくいかないプロジェクトかの判断基準は比較的、容易だ。

第2章【人】辺境に眠る妄想家に仲間との出会いを

そこに意志があるかどうかです。「自分は××したい。なぜなら◯◯だから」という一人称で話す人が多いプロジェクトは、成功します。一方で、「部門のミッションが××だから、◯◯する」というプロジェクトは非常に苦戦してしまいます。

意志こそが経営資源であると言っても過言ではないかもしれません。意志の力を宿したプロジェクトをいくつ抱えられるかが経営にとって大切なのです。

しかし、意志の力は、しなやかに強くも、人が守り続けなければ、簡単に途絶えます。独創をビジョンに変え、みなの参画を集め、育てていくステップを正しく踏む必要があります。

ステップ【0→1】独創によるビジョンをつくるフェーズ
ステップ【1→10】共創によるコンセプト作りフェーズ
ステップ【10→100】協業によるビジネスモデル作りフェーズ
ステップ【100→∞】分業による経営モデルフェーズ

上記のステップ論を意識しながら、志を絶やさないように、大切に社会価値に転換していくことを目指しましょう。

最初のステップ【0→1】独創によるビジョンをつくるフェーズにおいては、個人が既存のモデルに違和感を持つことからスタートしています。自分が何を理想としているのか、そして、そこと現在の状況とのギャップをモチベーションに転換させていきます。モヤモヤの背景にある自分の理想=ビジョンを言語化することがキーです。

そして、次のステップ【1→10】共創によるコンセプト作りフェーズでは、一度、主観で形にしてみた構想を、世の中の誰かの問題を解決するコンセプトに変えるフェーズです。このフェーズにおける課題は、自分が考えていることが“誰かの役に立てる!”という価値の実感を持てるかどうかがポイントです。顧客の定義を一度してみることで、コンセプトの検証視点を得ることになります。最近よく耳にするPoC(ピーオーシー、ポック)ですが、まさにこのコンセプト検証という意味=「Proof of Concept」の略です。

さらに、 ステップ【10→100】協業によるビジネスモデル作りフェーズにおいては、コンセプトをビジネスとして社会で検証するフェーズです。PMFに近い概念です。PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、製品やサービスが特定の市場に適合している状態を意味します。 直訳すると「Product Market Fit」で、顧客の課題を満足させる製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態を指します。ここでの課題は、実際に企画やサービスのベータ版を展開してみて、本当に誰かの役に立つかどうかを見いだすステップです。

最終的に、ステップ【100→∞】分業による経営モデルフェーズです。社会で検証して得た学びをもとに、実装し、インパクトを継続的に与えられる経営モデルとして行くフェーズです。

すべての過程を一人で歩む必要はありません。当然、仲間の存在が事業成否のポイントになります。誰を同じバスに乗っていただくのか、そうしたヒューマンリソースビジョンも同時に大切になります。むしろ何を実施したいか、よりもそちらのほうが大切という味方もあります。こちらの1冊「【学校で教えてくれないWHOの話とは!?】WHO NOT HOW 「どうやるか」ではなく「誰とやるか」|ダン・サリヴァン,ベンジャミン・ハーディ,森由美子」もぜひご覧ください。

著者の佐宗邦威さんのご経験の中でも、ユーザーや仲間、よきパートナーとの出会いが、起業家やイントレプレナー(企業内起業家)に自信をつけ、事業創造を手伝っていったとおっしゃっています。

創造の智慧とは!?

誰とやるか、仲間の存在について創造の智慧として、佐宗邦威さんは極めて重視します。

創造の智慧1 妄想を引き出し、熱を吹き込む・・・モヤモヤした人を着火させるために有効なのが、仲間の妄想を引き出し、ビジョンをぶつけ合い共有することです。信頼できる仲間の存在がこの壁打ちを可能にします。モヤモヤした思いは、言葉にしてみることで、想像以上に具体化するものです。言葉にすることで、初めて考えられると言っても良いです。

創造の智慧2 ともに企む仲間をつくる・・・最初に必要なのは、組織ではなく、仲間です。人一人の力は想像以上に小さいものです。一緒にビジョンを描き、見つめてくれる仲間を持ちましょう。

創造の智慧3 辺境に眠る妄想を発掘する・・・とくに会社に所属している人は、自らの身の置所は注意するべきです。会社のみにどっぷりと使っていると、社会の感覚を失ってしまい、イノベーションの種を持ち、育てにくくなります。変化は、辺境から生まれるとよく言いますが、自らを組織の辺境、もっというと境界線を飛び越えたところにポジショニングすることもとても大切です。組織の際にあり、いくつかの組織をつなぐ人材が特にフォーカスされます。こちらの論点については、「【経産省も注目する人材開発法とは!?】「越境企業」のはじめ方|瀬戸口航」もぜひご覧ください。

創造の智慧4 組織外の仲間から自信をもらう・・・外とのつながりをフラットに持つことが大切です。成功している企業でも、このフラットに付き合うことが大切です。上から目線にならずに、教えていただいたことに感謝して、継続的なつながりを持ち続けるようなスタンスを大切にしましょう。これからの時代は、御社・弊社という受発注の関係を超えて、フラットに仲間として繋がり続ける社会になっていきます。

健全な会社は、自分たちの創造的な破壊をしていくために、定期的に外の力も入れてアップデートしていくバランス感覚をもっている

第2章【人】辺境に眠る妄想家に仲間との出会いを

智慧を統合していくために!?

モヤモヤから、ビジネスコンセプトを生み出すためには、人との共創のちからが必要だということを上述してきました。もうひとつ大切な視点があります。それが、言語化のための視点です。自分がやりたいことを言葉として落とし込むときに、パーパスとして社会接点を検討する必要があります。この存在意義の言語化にあたって特に重要なのが、WHYにコンテキストを吹き込む視点です。いま必要なものごとであること、これから必ず必要になる物事であることについて語るためには、PEST分析を上位概念で結びつけていく力が必要になります。

その際には、人はなぜ生きるのか、人はなぜ社会を形成するのか、人はなぜ技術を活用するのか、人はなぜ政治を必要とするのか、それは何なのか?という問いかけに対する答えと連関を求めていく必要があります。

人文科学の視点を入れてWHYに文脈を与える

第4章【意志】根のある生きた意義を発信せよ

この連関を求めるに当たり知っておきたいのが、リベラルアーツです。この学問の世界にふれることで、人類がこれまで積み重ねてきた叡智を引き出しながら、文脈を構築していく軸となる視点を見出しやすくなります。

リベラルアーツについては、こちらの投稿「【武器となる教養の身につけ方とは!?】リベラルアーツの学び方|瀬木比呂志」もたいへんおすすめです。必要性を理解しながら、楽しんで多くの叡智に触れていきましょう。

まとめ

  • イノベーションの成否とは!?――個人の意志が起点になっているかどうかです。
  • 創造の智慧とは!?――仲間の存在が大きくものを言います。
  • 智慧を統合していくために!?――リベラルアーツに触れ文脈構築のヒントを得ましょう。
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