- どうしたら、自分の人生の時間を上手に使うことができるでしょうか。
- 実は、デンマーク人に暮らし方、働き方を学ぶのがいいかもしれません。
- なぜなら、彼らは仕事に人生を奪われることをしないからです。
- 本書は、仕事と人生の距離感が変わり続ける現代で、働く意義を冷静に見つめる1冊です。
- 本書を通じて、人生において何が大切なのかを改めて考えるきっかけを得られます。
世界から注目されるデンマークとは!?
実は、デンマークは、2022年2023年の2年連続で、国際競争力ナンバーワンに輝く実力を持つ国です。この他、デジタル競争力も2022年に1位、今後5年間のビジネス環境も3位(2023年)と、これからの時代においても大変期待値を集めている国であることがわかります。
また、デンマーク生まれの国際的に有名な企業も多く、たとえば、レゴブロックで知られるレゴ社、ビールメーカーカールスバーグ社、風力発電機の設計・製造・販売で世界をリードするベスタス社、コンテナ船を強みとする世界一の海運企業マークス社、グローバルな製薬会社ノボノルディクス社などが、デンマーク発の企業として、世界に価値を提供し続けています。
さぞかし、デンマーク人は、仕事を長い時間働き、会社に貢献しているのだろう・・と、考えてしまうのですが、実はそうではありません。勤勉であることは違いないのですが、実は、デンマーク人は午後4時には仕事を切り上げちゃう人が多いのです。
午後4時に仕事を切り上げて、家族や友人との団らんを楽しみます。その傍らでは、家具の調達や家のメンテナンスをし、DIYを楽しんでいます。週末には、しっかりと時間を作って、スポーツ大会や誕生日会、親戚や親しい友人を招いてのホームパーティなどのイベントも目白押しなのです!
デンマークの圧倒的な強みは「ビジネス効率性」にある。
第1章 なぜ今、北欧のデンマークが世界から注目されるのか?
デンマークでは、「ライフ」を犠牲にしなくても、「ワーク」で成果を出すことができています。むしろ「ライフ」を大切にしているからこそ、フル充電したエネルギーを使って「ワーク」に取り組めています。
そもそも、「ワーク」の目的が「ライフ」を充実させるための1つの要因であることを意識しているからこそ、プライベートの時間を侵さずに、短時間で最大限の成果を出すことができているのです。
デンマークの高い国際競争力の主な理由は、状況変化に対する企業の迅速な対応力、モチベーションが高い社員、行動なDX化である。
デンマーク産業連盟(DI)のアラン・ソーレンセン
デンマーク人の考え方とは!?
デンマークの人は、「ライフ」を大切にします。たとえば、家族との関係性という形でもこれは表れます。たとえば、夫婦共働きのフルタイムで、家事育児も夫婦で分担したほうがよいと思っています。
仕事ができることも、子育てができることも、「権利」として捉えているのだ。
第1章 なぜ今、北欧のデンマークが世界から注目されるのか?
プライベート、仕事という明確な区分けではなく、デンマークでは、「ライフ」を総体的に捉えて、この向上を行っていくための、カルチャーがあります。デンマークでは、仕事はとは単にお金を稼ぐ手段ではありません。仕事とは、自分が関心のある分野への知識や経験を深めることであり、その役職を通じた社会貢献であり、社会的責任を果たすことです。
午後3~4時に帰宅することが多いデンマークの方ですが、家族との夕食やだんらんの後に、残っている仕事を自主的に行う人もいます。やりがいのある仕事、喜びのある仕事、使命だと思える仕事であれば、残業してでも立ち向かっていくマインドセットがあります。
意義・意味の強さを感じながら、仕事と向き合うことで、生産性や効率性を結果として獲得することが可能なのです。その上で、仕事もプライベートも両方とも取れるようなバランスを極めるのです。
プライベートも充実している方が、仕事の生産性も上がるから
第2章 真の「タイパ」――人生を存分に楽しむ「限りある時間」の創り方
ちなみに、バランスを取ることの重要性については、こちらの1冊「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」もとても興味深く拝読することができます。ぜひご覧ください。
日本のカルチャーには、「石橋を叩いて渡る」という例え話があります。一方で、デンマークの人は、「石橋を創りながら渡る」ような、そんなスタイルであることも大変興味深いです。目的地がぼんやり見えてきたら、いろんな橋の造り方を試してみて、うまくいきそうな方法を見つけたら、一気に本格稼働をさせるようなアプローチを取ります。
まるでアジャイルのようなスタイルで、仕事を進めていくのです。これも目的意識が明確にあり、まずは時間をムダにせずにトライアンドエラーを繰り返してみようというマインドセットを持つことができるため、生産性を向上させることが可能になります。
この視点に関しては、こちらの投稿「【「手中の鳥」を探せ!?】エフェクチュエーション|吉田満梨,中村龍太」もご覧ください。これからの時代のジョブの進め方に、有効な視点を提供してくれます。
さらに、デンマークでは、信頼関係を大切にして、マイクロマネジメントをしないと言います。マイクロマネジメントとは、一挙手一投足を計画し、管理するスタイルです。でも人が動くためには、信頼関係を土台に、ビジョンとKPIがあることがポイントです。これらが整えば、人は自ら動くことが可能になります。
新しいマネジメントの方法については、ぜひこちら「【エンゲージメントが大命題!?】組織の未来はエンゲージメントで決まる|新居佳英,松林博文」や「【5つのポイントにフォーカスせよ!?】リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法|安藤広大」の投稿もご覧ください。
こうしたカルチャーが、国民ひとりひとりで共有されているため、デンマークでは、自分の働き方はもちろん、チームや組織の働き方もケアできる土壌があります。
デンマーク流の生き方とは!?
デンマークの方は、互いに働き方や「ライフ」についての意識を理解しているため、互いを尊重することが可能です。お互いを尊重してタイムパフォーマンスを上げる共通認識があるからこそ、社会全体の生産性が高くなるのです。
働き方、暮らし方を互いに、尊重するカルチャーは、次の社会性を大切にする4つのポイントにも表れます。
1)解決志向――目的意識を常に持って、解決に向かう力をチーム全体で養います。そのためには、ヒエラルキーよりも、フラットな人間関係を理想とし、率直なコミュニケーションを互いが取れるようにします。
2)個人的に受け止めないチカラ――それはそれ、これはこれというマインドで、相手や状況に、深く入りすぎ内容にします。解決できないことコントロールできないことにフォーカスしてしまうと、多大なストレスを受けることになります。そうではなくて、自分がコントロールできることに集中するのです。
3)「戦場」を選ぶ意思――上述の項目と類似することですが、細かなことにとらわれないマインドセットも大切にします。コアな部分以外はどっちでもいいという発想で、自分にとって大切なことのみに集中します。
4)デモクラシーのマナー――みんなの意見を平等に聞くことを意識します。立場に関わらず、みんながフラットに協働し、気持ちよく暮らせるように互いに工夫をします。
ムリしない、ムリさせない。
第3章 生産性を生む「人間関係」――信頼ベースで任せる、任される
ひとりひとりを尊重するデンマークでは、適材適所の意識もとても強いものがあります。
そして、互いに生産性の高いカルチャーの前提に立てるのは、互いを尊重していることにほかなりません。以下のようなマインドセットを共有できていると言えるでしょう。
- 自分もプライベートライフを大切にするから、みんなもプライベートライフを大切にしてほしい。
- 自分も休むから、みんなも休んでほしい。
- 自分も好みの服装で仕事をするから、みんなも好みの服装で仕事をしてほしい。
- 自分もやりやすい方法で仕事をするから、みんなもやりやすい方法で仕事をしてほしい。
- 自分も失敗するかもしれないから、みんなの失敗も受け入れよう。
- 自分も率直に意見を言うから、みんなにも率直に意見を言ってほしい。
- 自分もムリはしないから、みんなにもムリをしないでほしい。
ポイントは、自己犠牲による負のスパイラルではなく、大切なのは、相互尊重によるよりよい「ライフ」の追求なのです。
まとめ
- 世界から注目されるデンマークとは!?――ビジネス競争力ナンバーワンです。
- デンマーク人の考え方とは!?――なのに、午後4時に退社をして「ライフ」を充実させます。
- デンマーク流の生き方とは!?――自己犠牲ではなく、相互尊重によるスパイラルを重視します。