- BtoBマーケティングを実践しているけれど、いまいち効果が出てこない。
- 実は、それって時間軸とゴール設定が間違っているかも。
- なぜなら、BtoBマーケティングは成約まで多大な時間をかけ相手方のニーズを引き出す活動だから。
- 本書は、そんなBtoBマーケティングの全体像を見ながら気をつけるべき視点を説きます。
- 本書を通じて、経営者から現場に至るまで、何がマーケティングなのか!?意識統一することができるでしょう。
日本企業の多くが「マーケティングできていない」とは!?
アンゾフのマトリクスをご存知でしょうか。「製品・サービス」「市場・企業」について「既存」「新規」で掛けて、4つの窓を作るマトリクスです。
- 既存の「製品・サービス」→既存の「市場・企業」
- 既存の「製品・サービス」→新しい「市場・企業」
- 新しい「製品・サービス」→既存の「市場・企業」
- 新しい「製品・サービス」→新しい「市場・企業」
自社の戦略の位置づけとポートフォリオを検討する際に、活用します。著者である庭山一郎さんは、こんな指摘をしています。
中堅以上の日本企業の売上を顧客別や商材別で分析すると、ほとんどが左上の象限(既存の「製品・サービス」→既存の「市場・企業」)にプロットされます。つまりお得意さまに既存製品やサービスを販売して売上をつくっているのです。
3-2 要因1 営業部門の業務範囲が広過ぎる
既存の「製品・サービス」→既存の「市場・企業」の象限は、顧客との長い関係性を作り、「ハイタッチ」でとりにいきます。日本の企業は、これは大変長けているのですが、その他の象限を取りに行く活動がそんなに活発に行われている印象ではない・・というのが、庭山一郎さんの見立てです。
新しい象限を取っていくには、まったく新しい営業方針が必要になります。特に、新しい「市場・企業」に対応していく場合、顧客がどこにいるかもわからないため、顧客リストを集めるところからスタートしなくてはなりません。
BtoBマーケティングに求められる「コト売り」の発想とは!?
消費者の世界でも、モノより、コトに変遷したように、BtoBマーケティングの世界でも「コト売り」発想が求められています。新しい市場・顧客を開拓していくにおいては、必須の考えかたと言っていいでしょう。
これまでもさまざまな言い方で「コト売り」の重要性は説かれてきました。「プロダクトアウトからマーケットインへ」「カスタマーサティスファクション」「カスタマーセントリック」「バリュー・プロポジション」そして「モノ売りからコト売りへ」です。
いずれも、「顧客企業の奥深くに発芽した課題を競合より早く見つける仕組み」が必要です。
6-1 売上をつくるマーケティング用語の変遷
コト売りとは、顧客の課題を解決するために、必要な技術、製品、サービスをアッセンブリーする形態です。そのために、顧客の本質的な課題や状況、リソースなどを理解する必要があります。商談のイニシアチブは対等に近く、力を合わせて一緒に課題を解決するプロジェクトを推進することになるため、コンペにはならないケースも多いのです。
競合優位性をつくる要点は、「課題発見力」「実績・経験」「情報発信力」などになります。
6-1 売上をつくるマーケティング用語の変遷
BtoBマーケティング「コト売り」を目指す上で必要なこととは!?
コト売りを目指していくにあたって、いくつか注意するべきことがあります。2点に集約して見ると、「時間軸」と「ゴール設定」になります。
「時間軸」は、商談には数年というスパンが必要になるということです。BtoBビジネスをコト売りに転換しようと考えた場合、モノ売りの商談が発生する1~3年前には顧客とコンタクトを取っておく必要があります。単位は、「年」です。
BtoBの購買プロセスを把握しておくことが重要です。
- 1)課題が発生
- 2)解決の手法を検討する
- 3)選択した手法で具体的な設計を行う
- 4)設計で必要な機材の候補をリストアップする
- 5)リストアップした機材メーカーに連絡し提案をもらう
- 6)機材が納入され、トレーニングや運転が開始される
- 7)課題が解決
上記の内、2~7の工程がコト売り。そして、5~7がモノ売りです。いかに1の状態から顧客に寄り添えているかがポイントです。もしかしたら、バックキャスティングの視点で、顧客に対して積極的に「情報発信」をしていく必要があるかもしれませんし、自社の経験を「コンテンツ」として格納・配信することも重要になるかもしれません。
また、「ゴール設定」もコト売りを目指す上でも大切です。あくまで顧客の課題解決をゴールに置かなければ、コト売りは達成し得ないためです。「顧客の課題解決」>「自社の販売目標」という優先順位で、日々の会話や提案活動ができているかがポイントとなります。これについては、当然現場だけではなく、経営者から以下組織全体に、体質として浸透する必要があります。
過去の投稿「【顧客の本当のお困りごとに寄り添え!?】B2B顧客の悩みを解消する「処方箋型」営業|ニコラス・トーマン,ブレント・アダムソン,クリスティーナ・ゴメス」でも、BtoBマーケティングのコト売りの考え方と方法論が提示されていました。合わせてご拝読ください。
まとめ
- 日本企業の多くが「マーケティングできていない」とは!?――アンゾフのマトリクスにおける「新しい」がからんだ象限に攻め込んでいくことをほとんどしていません。そこを攻めるには、真にマーケティングが必要です。
- BtoBマーケティングに求められる「コト売り」の発想とは!?――顧客の課題解決を目的として、自社の手段を活用する視点です。
- BtoBマーケティング「コト売り」を目指す上で必要なこととは!?――時間軸(タイムスパン)とゴール設定を意識しましょう。