- ビジネスにおいて(特にコンサルティングの現場で)少しの時間で、多くの成果を上げたいと思いませんか?
- 実は、コンサルタントも、経営者もその思いは同じかも。
- なぜなら、時間こそ最も重要な経営資源だからです。
- 本書では、IBM常務執行役員や、PwCコンサルティング、IBMコンサルティンググループなどで20年超にわたり戦略コンサルティング業務に従事した著者が、短期間で答えを出すための、「ウォールーム」という座組の考え方と、それを駆動させる経営者への「戦略質問」を組み合わせる手法を紹介しています。
- 本書を読み終えると、コンサルティングの現場を変える着眼点を見つけることができるでしょう。

40分で80%の成果とは!?
戦略コンサルティングに3ヶ月もかけているが、そのうちの8割は、お客様の経営者にお会いして40分で浮かんでいた
はじめに
実は、仮説を持つのに膨大な時間は必要なく、すでにチームや特に全てを俯瞰している経営者の方の心のなかに、戦略は構築させれているはず、という前提で、コンサルティングに当たることがポイントです。
時間を無駄にせず、貴重なアイディアを消さずに済みます。
短時間で成果を生む「ウォールーム」とは!?
「ウォールーム(War Room)」は、組織の非常事態に、その対策を練るためのものである。ごく少人数かつ短期間で実施される。
「ウォールーム(War Room)」の戦略性を見直そう
ウォールームのメンバーは、経営者(決断者)を中心とした少人数セッション(基本は経営者の他に、少数単位の2名)にこだわるところだそうです。
人数が多ければ、予定調和の会議になってしまうので、あくまで、ウォールームは情報共有を目的とするのではなく、戦略的な決断を迫る会議体であることを、念頭に運営をしていきます。
ウォールームは、「仮説設定(構想)」→「ビジネスモデル抽出」→「実行計画検討」をクイックに回してきます。
また、起点を「経営者の心の中」に見出すというのも、この会議体の特徴です。
どんな会社にも適用されるような打ち手やアイデアではなく、社長があたためてたような「WILD・アイデア」に着目することがポイントです。その方が、本質的であり、かつ抜本的であり、さらに効果的であるケースが多いのです。
そして、この「WILD・アイデア」を引き出すために、「戦略質問」がポイントになります。
でもよく考えてみると、最初からエグゼクティブ・サマリーだけでよいのではないか?という疑問にぶち当たる。
「ウォールーム(War Room)」の戦略性を見直そう
たしかに著者の指摘するそのとおりなんですよね。みんな、余計な仕事を作って、余計な情報共有で、仕事をした気になっていることも、大企業や中堅企業では見受けられるようです。
私が支援をしている中堅企業での経営者との打合せを思い出すと、たしかに社長と数人のメンバーしかいらっしゃらず、その場に参加するメンバーを社長がコントロールしているようです。
この経営者の方は、感覚的にわかっていらっしゃるのだと思います。「みんなで考えることは重要だが、決断は私1人が行う。」そう思っているからこそ、座組まで洗練されているのだと気づきました。
「ウォールーム」を駆動する戦略的「問い」とは!?
特にキーとなる質問を、10の「セントラルクエスチョン」として整理している。
「非日常の問いかけ」で、経営者の思いを引き出す
「ウォールーム」を起動させるため、経営者の心の中から、真に考えているアイディアを引き出す10の質問を著者は定義してくれています。
たとえば、
・この戦略の成功により、社員はどのような恩恵を受けますか?
・現在の組織にある課題がすべて解決したとしましょう。あなたの会社は何が実現できているのでしょうか?
などです。
YES / NOで答えられたり、一般論などで回答できるような質問ではなく、経営者のビジョンを改めて引き出す質問です。
戦略は「一瞬のひらめき」であり、大勢が集まればアイディアは殺される。長い時間をかければ集中力は欠如し、網羅的ではあるが焦点がボケてくる。一瞬でつくり上げ、あとは現場に議論を持ち込めばいい。そこで、思いも寄らない無理に気づかされたり、抜本的な考え違いが判明したりもする。その場合には、元に戻ってまた短期間で議論をすればいい。
おわりに
まとめ
- 40分で80%の成果とは!?――実は、経営者との会話のうち最初の40分で戦略が見えていることもコンサルティング現場ではあるかもしれません。
- 短時間で成果を生む「ウォールーム」とは!?――短時間のひらめきやアイディアをないがしろにしないためにも、人数を絞り、話題を絞り、仮説を育む座組の設計が最も重要です。
- 「ウォールーム」を駆動する戦略的「問い」とは!?――座組は、経営者の心のなかにあることを起点とします。無意識のうちに考えている仮説の数々を引き出すための質問が「10のクエスチョン」です。
たしかにひらめきやアイディアは一瞬なのに、それをまとめたり、共有したりする時間のなんて膨大なことか・・と、私の仕事も振り返りながら思いました。それはコンサルティングを提供する側も、受ける側もおもっていること。みんな短い時間で済み、さらに効果も高いほどよいことはありません。
