- 仕事でこれって意味があるのかなぁ、何か目指しているところが違うなぁ、と思いつつも組織の理論に流されてしまうことはありませんか。
- 実は、いま、部分最適な仕事に加えて、総合的に全体を見る力が求められているんです。
- なぜなら、モノが増え、情報流通量が増え、技術革新が速度をまして進む中で、ビジネスがこれまでの延長線上だけで考えられない時代になっているからです。
- 本書では、電通から独立しdofを立ち上げ、数多くのビジネスをクリエイティブ・ディレクターとしてお助けしてきた斎藤氏が、自身とその会社が大切にしているビジネス全体を総合的にクリエイティブするものごとの見方を教えてくれます。
- 本書を読み終えると、自分が単に組織のコマではなく、考えるチームメンバーとして参画する技術や意識を高めることができるでしょう。

ビジネスのクリエイティブが求められる時代に!
クリエイティブなスキルやマインドセットは、多くのビジネスパーソンにとって、今後のビジネスで勝つために必須の要素になってきている、ということなのです。
はじめに
楽天やユニクロのクリエイティブ・ディレクターは、佐藤可士和さん。中川政七商店や久原本家茅乃舎のクリエイティブ・ディレクターは、水野学さん。そして、サントリーやSOURCENEXTポケトークのクリエイティブ・ディレクターは、斎藤太郎さん。
クリエイティブ・ディレクターは、企業参謀として、経営課題、ビジネスの課題解決を任されています。
モノが溢れて、なかなか消費者がモノを買ってくれない。情報提供の方法が増えて、それらをうまく組み合わせて行く必要があります。そんな過去の延長線上にない複雑な時代にあって、クリエイティブ・ディレクターの持つ、課題発見と解決能力が求められているのです。
実は、真の課題発見と解決能力は、いまやどんなビジネスパーソンにも関わるテーマで、非クリエイター(ビジネス・パーソン)にも、クリエイティブ・ディレクターのスキルはきっと役に立つものです。
「そもそも」疑いから始める3つのビジネスのクリエイティブステップ!
クリエイティブ・ディレクターとは、課題の本質を見つけ出し、仮説をたて「みんな、こっちだ!」「ここを掘ろう!」と解決策に向かって指示出しをし、成功に向かってチームをまとめていく人のこと
クリエイティブ・ディレクターは大工の棟梁
クリエイティブ・ディレクターがビジネスに向き合うステップは3つあります。
1.課題の本質を見つけること
得意先が自分で語る課題点が、真の課題であるとは限りません。コンサルティング領域でしばしば言われる「真因」という言葉と同じ概念です。本当の原因をつき、問題の息の根を止めるポイントを探し出さなくては、ビジネスに成果をもたらすことはできません。この課題を見つけるのに、「探る」「聞く」「見る」ことが大切です。
2.仮説を立てること
本当の課題にもとづき、これを解決する視点を探し出します。
3.チームに指示を出し、プロジェクトを前に進めていくこと
解決策の方向性を見つけて、チームメンバーを実行に向け、まとめ上げていきます。
クリエイティブ・ディレクターとは、大工の棟梁のようです。施主の要望という本質の課題をとらえて、家の全体像を意識しながら、各部位をまとめ上げて、形にしていく。
こうした総合的なアプローチが、真に効果を出すビジネスのために求められています。
「質問力」と「3つの目」を駆使セヨ!
知ろうとすれば、聞くしかない。だから、興味を持っていれば、聞きたくなるはずなのです。
質問力を鍛える
上記のクリエイティブの3つのステップで1番大切なのは、最初の課題発見力でしょう。
ここで、とくに重要なのが「質問力」です。
感覚を研ぎ澄ませて、知ることをしなければ、真の課題は浮き彫りになりません。
著者は、興味を持つことがまず大切だと言います。興味を持っていれば、聞きたくなるはずなのです。さらに、興味の範囲が広がっていくこともあるでしょう。最初は広告だけの付き合いだけだったはずなのに、商品開発や、事業開発などの必要性について興味の範囲が及ぶことで、財務や人事が気になってくることもあるはずです。
著者は、また、キラークエスチョンを用意していると言います。
それが、「この商品で世の中はどう変わりますか?」というものです。
この質問で、狭くなった視野を大きく広げることができることもあるそうです。
さらに、
・「うまく言ったときにの世の中は、どうなっていますか?」
・「この商品が当たり前になったとき、5年後はどうなっていますか?」
という質問も効果的です。
ぜひ、「聞くこと」の大切さを説いた「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる|ケイト・マーフィ」も読みたいところです。著者であるケイト・マーフィは「聞くことは愛だ」といいます。本書の斎藤氏も「質問には、相手を知りたい!という気持ちが大切」だといいます。

俯瞰でものを見る「鳥の眼」。近づいて見る「虫の眼」。流れを見る「魚の眼」。
「鳥の眼」~俯瞰で見る
課題を発見して、仮説を考える際に、大切なのが3つの眼の使い分けです。俯瞰した視点で社会を見て、ディテールの視点で生活者を見て、流れの視点で時代を見ることが大切です。
まとめ
- ビジネスのクリエイティブが求められる時代に!――変化の時代に、本質的課題解決のためには、クリエイティブ・ディレクターのアプローチが参考になります。
- 「そもそも」疑いから始める3つのビジネスのクリエイティブステップ!――本質的な課題を見つけて、仮説を立案し、解決策を立案する3つのステップが大切です。
- 「質問力」と「3つの目」を駆使セヨ!――相手に興味を持って質問すること、そして鳥の目、虫の目、魚の目を活用して、ものごとを見極めることもポイントです。
自己認識は案外間違っていることや、視点が不足していることがあります。クリエイティブ・ディレクターは、質問力で、徹底的に真の解決すべき課題発見を行います。真因と呼ばれるところまで、課題定義ができるかが、その後の企業活動の全てを変えてしまうでしょう。
