- 都会での忙しい毎日にうんざりしたり、同じ毎日の繰り返しに何か物足りなさを感じていたりしませんか?
- 実は、悪循環を抜け出すためには、多拠点居住=フルサトを持つという考え方もヒントになるかもしれません。
- なぜなら、すでに社会から一歩踏み出した著者2名により、熊野の地で充実したすばらしい実験的暮らしから多拠点生活の真の豊かな暮らしぶりを感じることができます。
- 本書では、いかにこの2人が工夫をしながらフルサトを開拓したのか、フルサトとはそもそもどんなものなのかを詳しく説明してくれています。
- 本書を読み終えれると、生きること生活することにワクワクした感情が生まれてきます。それは不思議にも心の拠り所に近いものがあります。
フルサトは、帰れば、食べて、寝て、遊べる21世紀の多拠点生活のあり方です。
フルサトというのは生存条件のハードルが限りなく低いもう一つの拠点である。
はじめに――21世紀のスーパーディフェンシブ生活体系のすすめ
楽しくたくましく生きるための重要な作戦の一つは、いざとなったときに帰れる場所を持つことだと著者たちは語ります。そして、その実践として「フルサト」を掲げます。
フルサトというのは、そこに変えれば、心身ともに穏やかに生活が送れ、競合他社とか機会損失とかそういう経済用語がさほど通用しない環境であるところ、と言っています。
フルサトは、都市の住宅とも、実家とも異なる、第3の居場所です。そこには、定住者との適度なつながりがあり、自分の特技を生かした仕事があり、そして、緑豊かで、漁港があり食べるのに困らない、あとは、温泉もある。そんな理想の場です。
都市とフルサトを行き来することで、都市だけでは味わうことのなかったノイズの中から、新しい感性や気づきが生まれ、毎日の生活を充実させることができます。
実家とは異なり、フルサトにはしがらみがないため、かなり自由に過ごせることもポイントです。
フルサトを作るには、人・環境・交通の3つのポイントを押さえることです。
フルサトをつくるために過疎地にシェアハウスをつくるところからはじめよう
はじめに――21世紀のスーパーディフェンシブ生活体系のすすめ
過疎地であれば、適度にご近所と離れていますし、空き家がある可能性が高いです。さらにフルサトを作る場所を選ぶ際に重要なポイントとして3つの人・環境・交通をあげています。
人・・フルサトを作るためには、いきなり過疎地に入っていくのは厳しいです。その地域でのコミュニティに入っていき適度な縁をもつことで、フルサト生活は充実します。また、空き家を探す際にも人の縁は非常に有効です。なので、まずは知ってている人を頼るか、あるいはNPOや公的支援を頼るのもいいでしょう。
環境・・都市と地方の多拠点を想定するなら、やはり田舎でしかできないことにフォーカスしたいものです。例えば、温泉に入る、釣りをする、森林浴をする、農業をする、そんな自分にとってビビッとくる暮らしの要素がその地にあるかどうかがポイントです。
交通・・都会からの通いやすさです。物理的な遠さだけではなく、LCCの就航地であるなどの時間的距離も重視しましょう。あくまで、多拠点での比較生活に価値が潜んでいます。定期的に行ける場所を選択することも忘れないようにしましょう。
フルサトで、ナリワイを作って暮らしを継続させましょう。
経済は何かが交換されて循環すればよい
経済は何かが交換されて循環すればよい
著者の伊藤洋志氏は、前著『ナリワイをつくる』(東京書籍)で、「ナリワイとは、小さい元手で生活の中から生み出され自給につながるやればやるほど心身ともに鍛えられる仕事」と定義しました。
また、同時にフルサトの環境には、足りないものが多くあることにも同時に気づくそうです。
実際に著者の2人が熊野でシェアハウスを運営しているときも、パン屋さんやカフェ、バー、あるいは地域のシニアの移動手段、塾など、足りないものがあることに気づきました。
そして、その足りないことを自分の特技で埋めていくと、いずれ、それがナリワイとなり、単に消費する生活をフルサトで送ることにならないと言います。
運転免許があったり、おいしい珈琲がいれられたり、ちょっと本に詳しかったり、そういったことを自分自身の中に見つけていくことも、フルサトでは可能になりそうです。
まとめ
- フルサトは、帰れば、食べて、寝て、遊べる21世紀の多拠点生活のあり方です。――都市のメインの住宅、実家とも違う、新しい縁を持てる場所を人生のセーフティネットとして活用しましょう。
- フルサトを作るには、人・環境・交通の3つのポイントを押さえることです。――まずは、人の縁をつくり入っていくことから、フルサトの暮らしは始まります。単なる「別荘」ではないことが大事です。
- フルサトで、ナリワイを作って暮らしを継続させましょう。――その地域で足りないこととを自分の特技で埋めることをしていきましょう。金銭授受がなくても、それは立派な経済です。
2人の著者が自分たちの熊野の暮らしを経験に語る多拠点生活は、とても魅力的でした。私自身、都会で暮らしていますが、たしかに田舎を旅行したときのなんとも言えない開放感や心的な充実度は、素晴らしい経験だと思います。固定した人生プランも揺らぐ時代、分散型の生活に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。