才能は与えられるものではなく、正しい努力を続けた後に作られるものです。非凡な人はこの努力の天才であると言えます。正しい努力は自分で選んだこと、そして開始したときの「我慢」をいかに乗り越えられるかが重要です。「我慢」を乗り越えるには、トリガー→ルーティン→報酬のサイクルを味方につけましょう。
習慣化を味方につける
ダーウィンは自分が普通の人よりすぐれているところがあるとしたら、「自然科学に対して尽きせぬ情熱をもちつづけていること」だと言った。アインシュタインは、こうだ「わたしには、特殊な才能はありません。ただ、熱狂的な好奇心があるだけです」
4章 ぼくたちは習慣で、できている。
著者は、生まれながらの才能を疑います。事実、ダーウィンやアインシュタインが、上記のように語るだけでなく、活躍しているスポーツ選手(イチローさんは、マラソン選手のキューちゃんなど)も、より多くの努力を続けているからこそ、上達したのだと語ると言います。
つまり「努力の習慣化」を身につけることで、目標を達成したり、自己の実現を果たしていくことが可能であると考えられます。
私自身、いろいろな習慣化に向けたトライをしてきまいした。その中でも、特にうまく行ったのは、中小企業診断士の勉強です。合格率4%程度と言われる試験に1回目の挑戦で合格することができました。いま当時の勉強スタイルを思い出してみると、著者の語る習慣化への取り組みと同じことがちらほら見えてきています。
今後、運動をしたり、お酒をやめてみたり、そして、このブログを順調に更新していくために、改めて習慣化について考えたいと思い、本書を手に取りました。
続けられないことで失う報酬は、自己肯定感である!
自分が決めたやるべき習慣ができないと、自己肯定感や不安が生まれる。そして意志力が失われるので、なおさら次の課題に取り組めなくなるという悪循環にハマってしまう。
1章 意志力は、生まれつき決まっている?
人は自分で決めたことがうまく実践できないと、そのことがストレスになってしまいます。具体的には、自己肯定感が減退してしまうことになります。そのことで、習慣化が遠ざかる負のスパイラルに陥ってしまうと著者は自身の経験から語ります。何かが「できてない」ことで、不安やネガティブな感情が生まれ、さらに続く課題のやる気も起こらなくなります。
毎日の習慣を味方につけることが、将来の成功やなりたい自分になるためには、大切です。これはみんな知っていて、朝早起きしようとか、毎日本を読もうとか、決めて、取り組み始めます。特に正月にはこうした気持ちになる人も多いのではないでしょうか。事実、通信教育の「ユーキャン」の広告は1月の出稿が最も多いそうです。
続かないのは、走り出しに「我慢」が必要だからと著者は語ります。この我慢こそがやっかいなもので、正しい努力を阻む最初で最強の敵です。
著者は、「努力」を「正しい努力」と「我慢」に分類することが、習慣化に向き合うときに大切だと言います。
「正しい努力」とは、支払った代償に見合った報酬がしっかりあること
「我慢」は、支払った代償に対して正当な報酬がないこと
習慣化の最初のステップでは、まだ報酬が見当たりません。この段階を過ぎれてしまえば、続けられることの自己肯定感や不安の払拭などの報酬が得られるため、継続する可能性が高くなります。よって、この最初をどう乗り切るかがポイントであると言うのです。
「我慢」を乗り切る3つの工夫
自分の意識が自分の行動を大きくコントロールしているという誤解がある。
2章 習慣とは何か?
まず大事なのは、自分の意識は対して行動に対して影響力を持たないということです。実際に脳の情報処理量は圧倒的に少ないらしいです。よって、無意識のうちに習慣化が作られるという事実を認めることがまず大事なのです。
習慣化は次の3つの要素で成り立っていると、『習慣の力』のチャールズ・デュヒッグは説明ししてます。
1.「トリガー」
一連の行動を引き起こすきっかけのことです。著者は、1日のルーティンの始まりを「早起き」に規定しているそうです。つまり早起きができれば、その後の行動もついてくるように、習慣のスイッチのような役割を担わせています。
2.「ルーチン」
トリガーによって引き起こされる一連の行動です。著者の場合は、ヨガ(瞑想)や執筆などだそうです。
3.「報酬」
脳が喜びや楽しさを感じることです。きちんと今日も早起きができた!という自己肯定感こそが、著者の場合は最大の喜びにつながり、毎日の習慣のトリガーを引くことにつながっていくのです。
私はこれを読んで、いかに事前に自分の無意識下にこうした設定を仕込んで置けるかがポイントだと思いました。そして、自分自身の中小企業診断士の勉強でもたしかに、この3つの工夫は取り込まれていたのです。TAC渋谷校の名物先生に私は偶然教わったことでした。
その先生から、勉強を「続ける」には、「必ず30分毎日机に座ること」だと教えていただきました。どんなに眠くても、どんなに酒に酔っていても、どんなに体調不良だろうが、とにかく座ること。座りさえすれば、あとは自動的に教科書に意識が向かうからと言っていました。そして、その記録をつけていくこともアドバイスされました。当初、果たして、座る・記録だけで、続けることになるのか?疑心暗鬼でした・・
国家資格の勉強自体が、初体験だった私は、もうがむしゃらで先人が言っていることをすべて取り組みました。この先生の教えも早速実践。エクセルでスケジュール管理をしながら30分勉強した(机に座った)日には○をつけて並べていきました。
いつの日か、この行動は習慣になり、自室の机を見ると、すぐに勉強モードに切り替わるようになっていったのです。自分でも驚きでした。1週間ほどで、勉強をしていないと不安にかられるようになり、勉強している方が心に安心感が芽生えるようになったほどです。
そして、結果的に1回の試験で1次試験も2次試験も突破することができました。(ストレート合格!!)何をしても3日坊主でやめてしまっていた私が、なんとか私自身をだましだまし少しの挑戦を毎日繰り返していった先に、大きな報酬が待っていたのです。本当に先生に感謝・・!
もちろん、勉強の質も大事だと思いますが、忙しい社会人の方にとって、難関資格と言われる国家資格の勉強をするにあたっては、まず「勉強時間の確保」が大切です。そしてこの本は、この最初のハードルである時間づくりの習慣化に大きなヒントをくれるものだと思いました。
本書は、習慣について著者自身の経験や多くの書籍、そして偉人の言葉を引用しながら多面的に切り取ってくださっている良書だと思います。数少ない私自身の習慣化による成功事例にも当てはまりました。今後、毎日の習慣を改めて作っていきたいと考えていたタイミングでしたので、非常に参考になりました。ローマは一日にして成らず!今日から小さな一歩を進めていこう!ととても前向きな気持です。・・・続けていきます!