マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX|黒川通彦,平山智晴,松本拓也,片山博順他

マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX

本質的なDXは、単なるデジタル化による業務効率化ではなく、「企業文化変革」により新たな売上・利益創造をするビジネスモデル、仕組みを新たに構築することです。しかし、多くの日本企業は、1.経営陣の同床異夢 2.部門を分かつ壁 3.世代間の闘争 4.変化を阻む企業文化 が足かせとなりうまく行っていません。次世代を担う中間層である人材のみなさんが危機意識を持ち、本質的なDXに向けたアクションを始めてみましょう。

黒川通彦,平山智晴,松本拓也,片山博順他
¥1,980 (2024/02/26 18:20時点 | Amazon調べ)

「偽物のDX」をしている余裕はない

破壊と創造に挑んだ者だけが生き残る

はじめに

マッキンゼーが、考えるDXとは、生き残るための自社の企業文化の破壊と創造による企業価値の向上です。長らく運営した会社には既に世間から見たときに古い慣習や常識があります。こうした古くなった社内常識を、従業員の意識も含めて壊して新創造することこそがDXで本質的に目指すべき目的なのです。

残念ながら過去30年間を振り返ってみると、世界的に比較した日本企業の価値は相対的に下落しています。

日本企業で企業文化変革に成功し、ビジネスモデルや仕組みを転換し、企業価値を高めるに至った会社はほんの数%に過ぎないというのが実情です。理由は、旧来のIT化が目的化している点にあります。

日本企業の変化を阻む壁は厚い

日本特有の構造的ハンディキャップを理解した上で解決策を見つける必要があります。

はじめに

日本企業ならではの構造と文化が本質的DXの足かせとなっています。これを認識した上で、乗り越えることも合わせて必要になります。

1.経営陣の同床異夢
経営幹部の合議制により、本質的DXに十分な理解のあるトップの英断を阻みます。幹部間で、DXに対する理解度、優先度、リスク許容度、危機意識等がバラバラなのも問題でしょう。

2.部門を分かつ厚い壁
互いに連携しない部門の壁が、全社一丸となって顧客目線に立たなければ実現することができない本質的DXの足かせとなります。IT部門とビジネス部門の隔たりも大きな問題でしょう。

3.世代間の闘争
経営幹部、管理職、現場のそれぞれで、デジタルリテラシーが全く異なります。そのことから、経験の違いは知識の違いを生み、知識の違いはリスク許容度と効果への解釈の違いを生みます。

4.変化を阻む企業文化
過去の失敗を繰り返さないための過剰なルールや不文律、石橋を叩いて壊してしまうほどの文化等、変革スピードのブレーキになる要素が多々あります。

DXで定義するべきは企業戦略の再定義

DXとは、企業変革そのものです。

第2章 DXで何を目指すのか

経営層は大胆な目標設定を行い、本質的DXを推進していく力に変えていくことが、まず重要です。そのためには、まず5年度、10年後にどのような産業構造の変化があるのか、競合および新規参入のプレイヤー動向を予測することから始めましょう。

同時に、顧客ニーズに合わせたビジネスモデルの再定義も進めます。既存のバリューチェーンにこだわることなく、自社の強みを俯瞰的に把握して、利益を生む仕組み自体を再構築して考えます。

ビジネスモデルがおぼろげに見えてきたら、経営層の役割の再定義も必要です。最大の役割とは変革で何を達成していくのか?DXの焦点と目標を明確化・言語化し、現場を正しい方向へと駆動させるためのビジョンを与えることにほかなりません。例えば、営業利益や付加価値提供の中身などの定量化、言語化です。

DXの5つの成功要因をまとめると以下のようになります。

1.圧倒的に高い目標値の設定があるか?(低すぎる目標では単なる「改善」活動)
2.トップによる変革の主導は行われているか?(目標達成に向けリーダーによる意識統一をすること)
3.現場主導で変革の実行が行われているか?(すべての従業員が変革意識を持ち「実行」していること)
4.徹底的な実行に向けた体制強化が随時適切に行われているか?(更新される実行プランに対応すること)
5.組織健康度も統合して改善できているか?(数字に現れる結果を出すこと)

黒川通彦,平山智晴,松本拓也,片山博順他
¥1,980 (2024/02/26 18:20時点 | Amazon調べ)

本書は、近年注目される「DX」についての本質を指摘しながら、ビジネスでは、はやり言葉に負けないで、常に本質を突き詰める力を問うています。DXを進める必要があると感じる経営者や現場のみなさんにとって、広い視野で会社や事業を俯瞰できるきっかけをくれます。また、まずは、失敗してもいいから果敢に始めて見ることが大切だと説く部分にも大変共感いたしました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!